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企業とのプロジェクト学習で「他者」の視点を学ぶ

複雑な課題に対して、生徒自身が問題解決、意志決定、情報探索を自律的に行い、制作やプレゼンテーションを目的としたプロジェクト学習(PBL)に取り組んでいる東京都の立教女学院高等学校。アディダスとの協働による30秒CM制作や京王電鉄とのポスター共同制作など、企業との共同学習を推進している同女学院の清水亨祐先生(化学担当)にお話をうかがいました。

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バーチャルではなく五感を通して現実を知ってほしい

―今回、JFEスチールから提示された「女性の総合職を採用できるようにせよ!」のミッションに対し、情報収集、表現、立案、テストマーケティング、ビジネスプラン作成、プレゼンテーションの流れでプログラムに取り組んでいらっしゃいます。生徒たちに一番学ばせたかったことは何ですか。

社会的な課題に取り組む時に必要になるのが「他者」の視点です。今回のプログラムは、さまざまな視点を持ち、複眼でモノを見るということに重きを置いてみました。就職活動を控えている女子大生OGを呼んで企業を選ぶ際のポイントや職業観をインタビューしたり、企業の採用担当者に来ていただき話を聞いたりました。リクルートさん提供の「採用広告の作り方講座」も盛り込んでいます。立場による視点の違いなどを学習でき、いい体験につながっていると思います。

 

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立教女学院高等学校
清水 亨祐先生

―先生ご自身がキャリア教育やPBLに期待するもの、あるいはこれらを通じて得られるものはなんだとお考えですか。

一言でいうと「体験型」の学びですね。比較的頭のいい子たちというのは、実際にモノを見なくても、質問に対してある程度、的を得た答えを導き出せる知識や能力を備えています。

けれど、一個人の頭で考えていることなんて、たかだか知れています、それがすべてじゃない。そこを感じとってほしいと思っています。実際に現場に足を運んで、目で見たり、耳で聞いたり、バーチャルではなく自分の五感を通して現実に触れる体験をさせたい。自分で考えているよりも世界は広いぞということです。

ですから、与える課題はあまり簡単でないものの方が面白いと思います。考えたこともないような世界の課題や、出会ったことのない未知のものを与えてみる。そこから「さあやってみよう」というパターンですね。課題→解決→発信、このプロセスは一人ではなかなかできません。グループワークならではだと思います。

 

―学校の先生方にとって、直接企業とコンタクトをとるというのは実際にハードルが高いと感じます。最初のきっかけとしてどんなことから始めるといいでしょう。

私の場合は、直接企業ではなく、まず大学訪問を足がかりにしました。どの大学も、ホームページに各学部の研究室の連絡先が公開されています。「生徒が進路先として興味を持っているので一度お話しを聞きにおうかがいしたいのですが」とメールを送ってみるところからスタートしました。

教師側も、実際に大学の研究室に出向いて実情を知ることで進路指導がやりやすくなります。まずは担当する指導教科から攻めてみるのがいいと思います。大学の研究室とつながりができれば、そこから大学院生とつながったり、さらに企業とつながったりもできます。あと、今回のプログラムもそうですが、キャリア教育コーディネーターの方に相談してサポートしてもらうのもおすすめですね。

 

―まずは、一歩学校の外にということですね。

そうですね、まず自分の名刺を渡すところから(笑)。そして相手の連絡先を手に入れて、コンタクトをとって訪ねる。そのシンプルな行動に尽きると思います。要は「こんなことを生徒に学ばせたいのですが」と伝えて、その先は専門家やプロにお任せです。大学も柔軟に対応していただけますし、学校に出入りする業者企業さんなど、身近なところからアプローチしてみてもいいと思いますね。企業側も、教育に貢献できるのであればと、おおむね好意的です。生徒にお礼の手紙を書かせたり、体験を通じて得た感動を伝えたりするととても喜んでくださいます。ディスカッションを通じて発信した高校生のアイデアが企業のお役に立つこともあるかもしれませんし。

 

―生徒さんの反応はどうですか?

大学の研究室訪問は、手応えを感じた生徒が「役に立った」と後輩に伝えたりすることで希望者が増えています。また本校のPBL授業は、希望参加制にしています。生徒自身の自主性に任せることに意義があると思いますから。

 

―最後に先生方へのメッセージをお願いします。

グループによるプロジェクト学習は、様々な学びが得られると個人的には感じています。テーマを与えていろいろな視点で考えをまとめ提案するだけではなく、ポスターや動画といった制作を通じた表現、発信など多様です。あまり難しく考えずに、まずは、生徒にこうなってほしい、こんなことを学ばせたいというビジョンを持って、先生自身が楽しみながら身近なところから足がかかりを作っていくといいと思います。

 

【生徒(高校3年)コメント】

・実際にものづくりの現場を見学して、HPでのバーチャル見学では得られないリアルな迫力、雰囲気を目の当たりにできたのは大きな収穫でした。
・進学先を決める上で、最初から文系に絞りこむのではなく、技術系の仕事も視野に入れながら将来を考えるいいヒントになりました。
・高校生の視点と大学生の視点の違いを学べて面白かったです。

 

【大学生OGコメント】

・経営学部に在学していますが、企業の課題を解決するプレゼン授業は実際に大学でも行われています。高校生の時からグループワークを経験することでコミュニケーション能力が高まり、大学でもすぐに役立つと感じます。
・就活中の大学生の悩みや実感を前もって知ることで、自分が大学生になった時になにをすればいいか、つかめるのでは、と思います。
・多方面から意見を聞くことで選択肢が広がり、将来像が描けると思います。

 

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